股関節の構造について
股関節は、大腿骨(だいたいこつ)の上端にある骨頭(こっとう)と呼ばれる球状の部分が、骨盤の寛骨臼(かんこつきゅう)と呼ばれるソケットにはまり込むような形になっています。
股関節の形状は球関節の一種の臼上関節であり、特徴は関節頭をつくる球の中心を通るすべての軌を中心とする運動を行う多軸関節です。自由自在にありとあらゆる方向に動く関節ということです。
正常な股関節では、寛骨臼が骨頭の約4/5を包み込んでおり、このことが関節を安定させています。
股関節が安定し、更に周辺の筋肉と協調することで、私たちは、脚を前後左右に自在に動かすことができます。
また、股関節は、普通に歩くだけでも体重の3~4倍の力がかかるといわれています。この力を支えられるよう、股関節は筋肉や腱などで全体が覆われています。
股関節周りの筋肉は?
腸腰筋
- 腸骨筋
- 大腰筋
- 小腰筋
という3つの筋肉をまとめて腸腰筋と呼ばれています。
支配神経は脊髄神経前肢(L1~L3)で、主な作用は股関節屈曲運動に関与することです。
腰椎や骨盤から大腿骨に向かってついている筋肉であり、脚を前に出したり、太ももを持ち上げたりといった股関節を曲げる運動に関与する筋肉です。腹腔の後ろで、脊椎の運動にも関わる筋肉であるため、深層筋に分類されることもあります。
大腿内転筋群
主に太ももの内側を走行している筋肉であり、
- 恥骨筋(支配神経は大腿神経L2~L3)
- 短内転筋(支配神経は閉鎖神経(L2~L4)
- 長内転筋(支配神経は閉鎖神経(L2~L4)
- 大内転筋(支配神経は閉鎖神経(L2~L4)
- 薄筋(支配神経は閉鎖神経(L3~L4)
の5種類があります。主な作用は股関節内転運動に関与することですが、姿勢によっては脚を前に出したり、後ろに下げたりする運動に関与することもあります。
殿筋群
殿筋群には、
- 大殿筋(支配神経は下殿神経L5~S2)
- 中殿筋(支配神経は上殿神経L4~S1)
- 小殿筋(支配神経は上殿神経L4~S1)
があります。大殿筋の主な作用は股関節伸展運動に作用し、歩行時の前方への体重移動の推進力を生みだします。中殿筋と小殿筋の主な作用は股関節外転運動に作用し、歩行時や静止立位などあらゆる肢位において骨盤の制御に欠かせない役割を持ち、身体の横揺れを制御しています。
深層外旋六筋
深層外旋六筋は、
- 梨状筋(支配神経は仙骨神経叢L5~S2)
- 上双子筋(支配神経は仙骨神経叢L5~S1)
- 下双子筋(支配神経は仙骨神経叢L5~S1)
- 大腿方形筋(支配神経は仙骨神経叢L5~S1)
- 内閉鎖筋(支配神経は仙骨神経叢L5~S1)
- 外閉鎖筋(神経支配は閉鎖神経L3~L4)
の6つがあります。主な作用は股関節外旋運動に関与することです。大腿骨頭と臼蓋の安定性(臼蓋に骨頭を引きつける求心力)に大きな役割を担っています。
大腿四頭筋・縫工筋
大腿四頭筋(支配神経は大腿神経L2~L4)は、
- 大腿直筋
- 外側広筋
- 内側広筋
- 中間広筋
という4つの筋肉の総称です。
股関節の運動に関与するのは大腿直筋のみであり、主な作用は股関節屈曲運動に関与しています。残りの3つの筋肉は膝関節の運動に作用し、主な作用は膝関節の伸展運動に関与することです。歩行時には大殿筋とともに、前方への体重移動の推進力を生み出すために重要な筋肉です。
縫工筋(支配神経は大腿神経L2~L3)の主な作用は股関節の外転・外旋を伴う屈曲運動に関与することと、膝関節の屈曲運動に関与することです。
ハムストリングス
ハムストリングスは太ももの後ろ側を通る大きな筋肉である、
- 大腿二頭筋(支配神経は長頭が脛骨神経、短頭が総腓骨神経L5~S1)
- 半膜様筋(支配神経は脛骨神経L5~S2)
- 半腱様筋(支配神経は脛骨神経L5~S2)
の3つの総称です。
主な作用は股関節伸展運動に関与することと、膝関節屈曲運動に関与することです。
股関節周りの靭帯は?
股関節周りの靭帯には人体最強のY靭帯と呼ばれる、腸骨大腿靭帯があります。
その他に、恥骨大腿靭帯、坐骨大腿靭帯、大腿骨頭靭帯があります。
腸骨大腿靭帯は股関節伸展・内転・外転・外旋方向への運動を制限し、恥骨大腿靭帯は外転・伸展・外旋方向への運動を制限し、坐骨大腿靭帯は、伸展・外転・内旋方向への運動を制限し、大腿骨頭靭帯は、内転方向への運動を制限しています。
股関節の痛みとその原因①についてまとめ
今回は、股関節の構造(造り)や関節の動き、周囲の筋肉の働き、関節を保護する靭帯についてお伝えさせていただきました。
次回は、股関節の痛み症状のセルフチェックや、症状、実際の症状に対しての対処の仕方などについて触れていきたいと思います。
今回も、最後までお読みいただきありがとうございます。
次回の更新も楽しみにしていてください。
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