変形性股関節症に対する運動(トレーニング、ストレッチ)の効果は?
近年発表されている国際的なガイドラインでは、変形性股関節症(股関節症)に対する運動療法の研究において症例数と報告数が少ないため、下肢関節症(膝,股)に対する研究結果を参考にして専門家の意見として発表されています。
股関節症に対する運動療法は、疼痛緩和、筋力増強による機能障害の改善、関節の安定性や可動域の改善を目的として行われることが多く、いずれにおいても運動療法は股関節症の疼痛、機能改善に有効であると言われています。
運動の種類としては、有酸素運動や筋力増強訓練(主に股関節外転筋、膝伸筋)、水中運動が推奨されており、どの病期においても疼痛、機能障害の改善が期待できるとされています。
股関節周りの筋肉のストレッチ法
殿筋群のストレッチ
殿筋群には、表層にある大殿筋、中層にある中殿筋、最下層にある小殿筋の3つがあります。
上の写真の図のようにポーズをとることで、前側の足の方のお尻周りがストレッチされます。
変形性股関節症の症状の特徴にある関節可動域制限を有しておられる方は、上の写真のようなポーズをとること自体が難しいということもあるかと思います。
そういった場合には、別の方法でストレッチをする方が望ましいかと思います。例えば、椅子に座ってストレッチをしたり、寝転んで行う方法もあります。
自身の症状に合った方法でムリなく実践していくことが重要だと思います。
腸腰筋のストレッチ
腸腰筋は骨盤、股関節の前方にある筋肉であり、鼠径部痛の原因でもある筋肉です。
上の写真のようにポーズをとってストレッチをすることが一般的です。上の写真では右脚のつけねの股関節前面がストレッチされています。
さらに、上の写真のポーズから踵をお尻につけるように膝を曲げていくと、太ももの前面全体のストレッチをすることができます。
上の写真のようなポーズをとることきに、ぐらぐら揺れてバランスがとりにくい場合などは、逆に変な力が入って(全身的緊張)効果がうまく出ないことがあるので、そんな時は、片手て手をついてどこかを支えにしてみたり、それでもダメな場合は寝転がってストレッチする方法もあります。
ストレッチポールを使った方法もあります
ストレッチポール活用術です!
大腿前面をストレッチポールにのせて上の写真ようなポーズをとります。頭と踵の方向に上下にコロコロとストレッチポールの上で動くことで、大腿前面の簡易的な筋膜リリースなんてこともできます。
また、上の写真のように曲げた足を内側・外側にワイパーのように動かす方法でも大腿前面の簡易的な筋膜リリースができます。
痛いなぁ、硬いなぁと思う部分にストレッチポールをあてて動かすことがポイントです。
人によってはストレッチポールにあたっている箇所が圧迫されていたいと感じる方がいらっしゃるかもしれません。そんな時は、無理をせずにバスタオルなどでクッション性を足していただいても構わないかと思います。
内転筋群や体側のストレッチ
内転筋は太ももの内側についている筋肉であり、歩行時には足の振り出しや立っている時に体重を支えるのに重要な筋肉です。
上の写真のようにポーズをとってストレッチをすることで効果が出やすいです。
また、同時に体側を伸ばすことで、歩行時に出る跛行での身体の歪みなどを予防することが可能です。
無理せず、少しずつ伸ばしてあげてください。上の写真の方法以外でも、椅子に座ってストレッチをする方法や蹲踞のポーズで身体を捻りながらストレッチをする方法もあります。
背中のストレッチ
変形性股関節症では、歩行時などの痛みを回避するために跛行をていしてしまうことが多く、こういった状態が長く続くことで、腰痛を併発してしまうことも少なくありません。
そういったことを予防するためにも、背中(腰)のストレッチをすることは重要です。
上の写真のようにヨガで言う「赤ちゃんのポーズ」をとり、深呼吸をするだけでも構いません。そのまま「ゆりかご」のようにコロコロと揺れても良いかと思います。
股関節周りの筋肉のトレーニング法
お尻周りのトレーニング①
上の写真のような方法でトレーニングを行うことで、大殿筋やハムストリングスを効果的に鍛えることができます。
大殿筋やハムストリングスは、歩行時に股関節を進展させ、身体を前に進ませるための推進力に大きく関与しています。
「歩幅が狭くなったな」、「歩くスピードが遅くなったな」という方は、是非一度お試しください。
お尻周りのトレーニング②
大殿筋をターゲットにしたトレーニングは、上の写真のような方法でも行うことが可能です。
いずれの方法も、腰を反りすぎることが一番失敗で多いことです。腰を反りすぎて行ってしまうことで、腰痛を引き起こしてしまうこともありますので、注意が必要です。
お尻周りのトレーニング③
上の写真のような方法でトレーニングを行うことで、中殿筋のトレーニングを効果的に行うことができます。
中殿筋は、歩行時や立位の際に内転筋群と強調して骨盤を支えることに関与しています。
「歩行時に身体が揺れる」なと感じる方は、是非一度お試しください。
足をたくさん開こうとするあまり、腰が捻じれて骨盤が後ろに倒れてしまうことが多くあります。これでは、効果的に中殿筋を鍛えることができませんので、注意が必要です。
お尻周りのトレーニング④
中殿筋をターゲットにしたトレーニングは上の写真のような方法でも行うことができます。
足の角度を変えることで、さまざまな方向に中殿筋を鍛えることが可能であります。
腰の反りが強く出ないことには細心の注意が必要です。
足全体のトレーニング法
足腰のトレーニングで有名なものの中に「スクワット」があります。
スクワットと言っても様々な方法が存在します。
例えば、
- ワイドスクワット
- ブルガリアンスクワット
- スプリットスクワット
- ジャンピングスクワット
- サイドスクワット
- ワイドジャンプスクワット
- オーバーヘッドスクワット
- ナロースクワット
などが挙げられます。それぞれ、鍛えたい筋肉の目的に応じたり、体力に応じたりして方法を選択することが望ましいと思います。
今回ご紹介するのは、「ワイドスタンススクワット」です。
比較的負荷調整が行いやすく、安全に安定してで行えるのがメリットかと思います。また、内転筋群・殿筋群、大腿四頭筋やハムストリングスなど歩行時に必要な筋肉が効率よく鍛えられることが魅力です。
股関節の痛みとその原因④についてのまとめ
今回は、変形性股関節症に代表される股関節痛に対しての運動(トレーニング&ストレッチ)の方法を実践編でお伝えさせていただきました。
あくまで、一般的なものですのでそれぞれの方に合った方法を工夫しながら行うことが重要だと思っています。
運動に加えて適度なタイミングでボディーケアを受けることも重要です。
海外の研究結果では、ボディーケアを定期的に受けている方とそうでない方を比較すると、健康寿命に差が出るという結果が出ているという一説もあります。
運動とボディーケア、LEAP Physio Lab.で始めてみませんか?
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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