帯同報告「乾友紀子選手 Technical Routine」World Cupカナダ大会前書き
前回の記事では、試合本番を迎えるまで(公式練習期間中までの)の現地での活動について綴ってきました。
今回の記事では、試合当日・直前など演技映像を交えて情報発信をしていきます。
3月のカナダはとても寒く、-10度以上の日もあります。道には雪の塊というか、もはや凍っていて氷の塊のようになっています。天候も変わりやすく、ふぶいてきたかと思うとものの10分ほどで晴れ間が見えたりという感じです。
👆カナダでの宿泊先周辺の景色の動画です👆
カナダでの移動は、Uberタクシーを利用していました。アプリで簡単に配車ができ、支払いも紐づけしておけばキャッシュレス決済が可能です。Uberタクシーは結構な台数が走っている感じで、配車してから3分以内に車が到着します。下の画像のような感じで、日本のタクシーと価格帯も変わらないくらいの金額設定です。
アーティスティックスイミング乾友紀子選手World Cup帯同記 Solo Technical編
当日の朝はいつも通り宿泊先にて陸上でのウォーミングアップを済ませ、髪あげ(ゼラチンを塗り、髪飾りをつけること)、メイクの一部を済ませ、食事をとって出発です。
この日は5:00頃から陸上ウォーミングアップがスタートです。
試合本番の時間が13:00のため、会場入りは9:30までに。会場に着くと脚先のケアを行い、水中でのウォーミングアップが始まります。いつものルーティーンで身体を起こしていき、振付の確認、技の確認など専門的な練習に移行していきます。
本番の約1時間前に曲かけ練習が始まり、これを終えると水中での練習は終了になります。
本番直前は、ケアできるスペースを見つけていつもこんな感じで直前の調整を行っています。
Solo Technicalへの出場者は10名。
乾友紀子選手は6番目の演技順。その次7番目にウクライナのMarta Fiedina選手が登場します。
乾友紀子選手が登場です。
2022世界水泳ではTechnicalのテーマを鳳凰伝説(乾友紀子選手の代表作ですね)で泳ぎましたが、今回はテーマも曲も水着も一新して新しいルーティーンを泳ぎました。
テーマはThe life of a droplet「水のゆくえ」です。
演技映像をどうぞ。
結果は、演技終了時点で以下の通りで1位です。
がしかし、7番目のウクライナのMarta Fiedina選手が演技すると、この選手が1位になってしまうではありませんか・・・。
昨年の世界水泳でも点差をつけて勝っていますし、当日の乾選手の演技の出来栄えを見ても全く悪くありませんでした。なのに、なぜ負けてしまったのでしょうか?
アーティスティックスイミング乾友紀子選手 Solo Technical なぜ、負けた?
答えは、新ルールというところにあります。
前シーズンまでのルール
これまでのASの採点では、完遂度、難易度、芸術性など3つの要素を10点満点で採点していました。(合計100点満点で順位を決定していました。)
今までのTechnical ROUTINEは、5つの規定技を演技に取り入れることが定められていて、競技者の技術力に重点をおいた採点が行われる種目でした。
この採点はこれまで次の3項目、
1)Execution(スキルと同時性といった総合的な演技の完遂度を評価)30%
2)Artistic Impression(難易度/構成/音楽の解釈/プレゼンテーションなどの芸術性を評価) 30%
3)Elements(各規定要素の専門スキルのレベル)40%
10点満点で表され、その合計が100点満点となる構成でした。
今シーズンのルール
新ルールでは「10点満点」をではなくなり、フィギュアスケートや新体操などの他の審美系スポーツの採点方法を参考にして、これまでなかったCOACH CARD(演技構成申請表)を事前に提出することになり、技ごと(リフトなどのAcrobat動作や体形変化やパターンチェンジなども含まれます)に難易度が設定され、その技の出来栄え(完遂度)を評価して1つ1つの要素を採点する「ELEMENTS」と、ASの自由な表現を残すように「ARTISTIC IMPRESSION(芸術性)」は従来通り審判の主観で採点する方式となっています。
技術(難易度×完遂度(掛率はFCによって変動))と芸術性の合計という「2階建て」で採点する仕組みとなり、合計点数は青天井になりました。
ルール変更の詳細に関しては、「アーティスティックスイミング競技の楽しみ方」というシリーズの記事で情報発信をしています。お時間があるときにこちらも合わせてお読みいただけるとより深くアーティスティックスイミング競技について知れると思います!
帯同報告「乾友紀子選手 Technical Routine」World Cupカナダ大会のまとめ
今回のTechnical ROUTINEでは、
ウクライナのMarta Fiedina選手は、TOTAL DEGREE OF DIFFICULTY 25.050、ARTISTIC IMPRESSION 89.9000、ELEMENTS 155.3917で、合計245.2917でした。
乾選手はそれぞれ、TOTAL DEGREE OF DIFFICULTY 25.2000、ARTISTIC IMPRESSION 90.4000、ELEMENTS 152.3917で、合計が242.7917で、2.5点の差がありました。
負けた項目は、ELEMENTSであり完遂度、質、出来栄えを評価する項目でした。とても、この項目で負けるとは思いませんが、結果は結果です。POINTは掛率という部分だと思います。評価が高くても、掛ける数字(難易度)が低ければ、点数は低くなってしまいます。
このあたりの、構成や点数の取り方など再分析して次回のWorld Cup FRANCE Montpellier大会に挑みたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回の記事ではSolo Free ROUTINEのことを綴っていこうと思います。
こちらの記事も、あわせてお読みください!
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