変形性股関節症の有病率は?
単純X線診断による日本人の変形性股関節症の有病率は1.0~4.3%で、男性は0 ~ 2.0%、女性は2.0~7.5%と女性で高いとされています。
日本における変形性股関節症(股関節症)の有病率に関する疫学調査は少ないですが、代表的な疫学調査は3つあります。
そのうち1つは住民検診時の単純X線像による疫学調査であり、残りの2つは静脈性腎盂造影X線像による調査です。これらの研究では、用いられた診断基準の違いにより研究結果の有病率に差があると言われています。
変形性股関節症の発症年齢は?
日本人の変形性股関節症の発症年齢は平均40~50歳が多いと言われています。
変形性股関節症(股関節症)の発症年齢に関する2つの研究では、股関節痛の初発年齢は平均50歳であったと報告されています。また、2010年に発表された国内15施設の股関節症初診患者485例に関する多施設研究では、初診時年齢は50歳代が最も多く、次いで60 歳代であったと報告されています。
股関節は荷重関節ということであるため、年齢を重ねて使っていくうちに経年劣化のようなイメージで中高年の年代をかわきりに症状を有する方が増えるということであると思います。
正しい股関節の使い方や思う存分に股関節を使うための筋力や関節の可動域、生活や仕事、スポーツや趣味活動で使った分のケアを適切に行うことが予防の第一歩ということになると私は考えています。
変形性股関節症の発生因子は?
日本では、
- 重量物作業の職業
- 寛骨臼形成不全
- 発育性股関節形成不全(脱臼)の既往
が変形性股関節症の危険因子と言われています。
臼蓋形成不全や股関節形成不全(先天性股関節脱臼)などの生まれつきの構造に起因する股関節症に関しては、すべてを改善できるわけではありませんが、たとえその構造であっても、その構造の中で安定させて使えるように運動療法をしていくことで、症状の進行を防ぐことができたり、症状を緩和することが可能であると思います。
また、重量物挙上の作業が続くことでの股関節症の発症に関しては、適切なケアと予防のためのトレーニングやセルフケアをしっかりと行うことで予防することが可能です。そういったサポートを行うのが私の仕事であると考えております。
変形性股関節症の発症原因は?
二次性の変形性股関節症(股関節症)の原因は、その多くが寛骨臼形成不全と報告されています。
その他の原因として、
- 小児期の股関節疾患 (Perthes病、大腿骨頭すべり症など)
- 大腿骨頭壊死症や炎症性疾患(関節リウマチ、血清反応陰性脊椎関節炎など)の末期像としての股関節症
- 外傷性疾患(股関節脱臼や股関節骨折など)
- 内分泌・代謝性疾患(先端巨大症や副甲状腺機能亢進症など)
- 感染性疾患(化膿性・結核性股関節炎など)
- および腫瘍(類似)性疾患(滑膜骨軟骨腫症や色素性絨毛結節性滑膜炎など)
が挙げられています。
日本では、骨関節構造の形態的に不全があることをベースに何かの事象が加わり症状が引き起こされることが多いとされています。何かの事象が加わり症状が引き起こされる前に、もともと形成不全がある方は、予防の手立てを早期に開始することで股関節症を予防することができると考えております。
変形性股関節症の特徴的症状は?
- 股関節可動域の制限
- 鼡径部痛
- 跛行
が特徴的と言われています。
股関節の可動域制限は主に開排制限や屈曲制限が起こりやすく、足を開いたり、上げたりすることが不自由になりやすくなることが多い印象を受けます。
鼠径部痛は、股関節前面部痛で、歩行時や階段昇降時の痛みが出やすいです。また、長時間の同一姿勢での作業で股関節に重だるさを主体とする鈍痛を有したりすることが多いです。
跛行は、歩行時に股関節痛を回避するために足の振り出し方を変化させたり、身体の傾きや捻じりを変化させたり今までの歩容と変わった歩き方になってしまうことが多い印象です。
跛行を放っておいて生活を続けていくと、背骨の歪みやほかの関節の痛みを引き起こしたり悪循環になることが多いです。
歩行改善を目的にした施術や歩行改善トレーニングの指導も私の重要な仕事の一つです。歩きにくさを感じたり、歩いている時に躓くことがあったり、足の出しにくさを感じたりしている方がいらっしゃったら、一度ご相談ください。全力でサポートさせていただきます。
変形性股関節症に対するサプリメントの効果は?
各種サプリメント(コンドロイチン、グルコサミン、コラーゲン、ヒアルロン酸など)は治療薬とは異なり、健康食品(機能性食品)に相当します。
下肢変形性関節症(膝、股)に対する比較試験は多数行われていますが、股関節症に限定した研究報告は少ないです。一時は疼痛緩和に有効であったとする報告もあったようですが、2007年以降の研究報告やレビューでは、ほとんどが否定的な結論となっています。
要するに、現状では効果が明確でないというのが一般的な見解となります。
かといって、社会一般に流通および販売されているものであるので、服用することで身体に悪いものではないということは事実です。
私はサプリメントを服用することに関して肯定派でも否定派でもありません。服用することで何かしらの効果を感じる方がいらっしゃったら、それを継続されながら、運動やトレーニング・ストレッチなどを合わせて実践していただきたいです。
もし、股関節症に悩まれ、まだ何も実践できていない方、これから始めてみようかと検討中の方、がいらっしゃいましたら、股関節症に対する正しい対処法をLEAP Physio Lab.で習得しませんか?
股関節の痛みとその原因③についてのまとめ
今回の記事では、変形性股関節症に焦点を絞って記事を作成いたしました。有病率や発症に起因する因子などの疫学的調査をベースにした少し細かい内容になりました。
また、特徴的な症状やサプリメントの効果についても、一般に報告されている研究論文を参考にして記事にしてみました。
私の専門であるボディーケアやトレーニング指導、セルフコンディショニング指導の知識や経験を織り交ぜて、実際どういったことをすればよいのか?ということの実践編をLEAP Physio Lab.で指導している一般的なメニューの中から抜粋して次回の記事では少し紹介していこうと思います。
次回の記事も楽しみにしていただけると幸いです。
今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント