2023年7月に福岡で開催される世界水泳に向けて、アーティスティックスイミング競技の新ルールについてこれまで情報発信を行っています。
私のサポートしている乾友紀子選手の演技をより楽しんで観戦・応援できるようにできるだけ競技のことをわかりやすく伝えていきたいと思っています。
アーティスティックスイミング競技の楽しみ方①・②・③では、新ルールの大まかな概要、各カテゴリーごとの競技種目、演技構成と演技時間についてお伝えして参りました。
まだお読みでない方は、下記リンクからお読みになってみてください。
今回の第4弾のブログでは、採点項目についてお伝えしていきたいと思います。
アーティスティックスイミング 新ルールでの採点項目
2022年世界選手権まで:旧ルールでの採点項目
Technical ROUTINE
Technical ROUTINE | Solo | Duet/MIX Duet | Team | |
Execution <30%> (完遂度と同調性) | 完遂度: スキルの優秀さを採点。 難易率が指定されていないすべての動作の完遂度を評価。 | 90% | 50% | 50% |
同時性: 難易率が指定されないすべての動作の同時性を採点。 水上・水面・水中におけるスイマー同士、スイマーと音楽の動きの調和の正確さ、タイミングと同時性を評価。 | 10% | 50% | 50% | |
Impression <30%> (難易度、構成、音楽の解釈、プレゼンテーション) | 難易度: 達成する難しさの度合いを採点。 難易率が指定されないすべての動きの難しさを評価。 | 50% | 50% | 50% |
構成: 芸術的かつ技術的な要素を兼ね備えたルーティーンを構成するスキルを採点。 構想、動きの多様性、創造性を評価。 | 50% | 50% | 50% | |
音楽の解釈: 音楽のムードの表現、音楽の使い方を採点。 | ||||
プレゼンテーション: ルーティーンの演じ方を採点。 | ||||
Elements <40%> (各規定要素の完遂度と同時性) | 完遂度: スキルの優秀さを採点。 難易率が指定されている各規定要素を評価。 | 90% | 50% | 50% |
同時性: 難易率がされている各規定要素の同時性を採点。 水上・水面・水中におけるスイマー同士、スイマーと音楽の動きの調和の正確さ、タイミングと同時性を評価。 | 10% | 50% | 50% |
Free ROUTINE
Free ROUTINE/Free combination ROUTINE/Highlight ROUTINE | Solo Free | Duet/MIX Duet Free | Team Free Free combination Highlight | |
Execution <30%> (完遂度と同調性) | 完遂度: スキルの優秀さのレベルで採点。 全ての動きの完遂度 | 90% | 50% | 50% |
同時性: 水上・水面・水中におけるスイマー同士およびスイマーと音楽の調和の正確さおよびタイミングの同時性を採点。 | 10% | 50% | 50% | |
Artistic Impression <40%> (構成、音楽 の解釈、プレゼンテーション) | 構成: 芸術的かつ技術的な要素を兼ね備えたルーティーンを構成するスキルを採点。 構想、動きの多様性、創造性を評価。 | 100% | 100% | 100% |
音楽の解釈: 音楽のムードの表現、音楽の使い方を採点。 | ||||
プレゼンテーション: ルーティーンの演じ方を採点。 | ||||
Difficulty <30%> (難易度) | 難易度: 達成する難しさの度合いを採点。 動きおよび同調性の難しさを評価。 | 100% | 100% | 100% |
上記表のように細かく採点されていました。
競技に関わっている我々でも、点数計算(採択)の割合など細かくて覚えるのが大変なぐらいでした。
アーティスティックスイミング 2023新ルールでの採点項目
1.ELEMENTS
Required elements(Technical ROUTINEの5つの規定要素のこと)とFree elements(HYBRIDと言われる脚技の組み合わせとDuet・Team競技ではAcrobat動作(リフト動作)のこと)に対して技の完遂度・出来栄えを評価・採点する。
主たる評価項目は「高さ」である。下図は脚技の点数の指標です。太もも中央以上まで水上に出ていれば「8.5点」で、股の部分までで出て「9.0点」付近ということになります。これは、明確でわかりやすいですね。10点満点での採点で、評価を受けます。
Acrobat動作に関しても「高さ」を評価されています。空中でパフォーマンスをする選手の跳躍高に対した評価に加え、ボトム(水中で持ち上げる土台の選手)の高さも評価基準になります。あとは、これに加えて技の出来栄えが評価されるというわけです。
2.ARTISTIC IMPRESSION
1) Choreo.&music
ROUTINEの振付けや音楽の解釈、音楽との同調性など芸術的要素と技術的要素の創造性を評価する。
2) Performance
ウォークオン(陸上動作)と水中の演技の両方を考慮して採点され、自身のエネルギーやパワーや情熱などの表現力(観客に・審判に・会場に)がどれだけ素晴らしいかを評価する。
3,)Transition
演技構成の中でのつなぎの部分を評価する。つなぎの部分の評価とは、HYBRIDとHYBRIDの間の動きや、ROUTINE中を通して動きのスムーズさや速さ・推進力などの水の中での動きの流れや流動性のことを指しています。
3.TOTAL DEGREE OF DIFFICULTY
DIFFICULTYはあらかじめ提出したCOACH CARD(大会の2週間前に提出が義務付けられています。決勝がある場合は、予選が終了し演技順が決定してから再提出をすることになっています。)をもとにチェックされ、そのチェックは、Technical controllerと呼ばれる役割の責任グループが公式練習中から試合本番まで行います。
COACH CARDに記載された技を正確に行わないと、その技を含むHYBRID動作は実施認定を受けることができず、Base markといって基礎点のみの評価しか受けることができなくなります。
要するに「0点」になってしまうということです。
ここで、0点になってしまうと次回ブログでお話をしようと思っていますが、実際に順位を決定する演技合計得点の計算の際に、非常に不利になってしまいます。
アーティスティックスイミング競技の採点方法~新ルール2023~のまとめ
今回の記事では、アーティスティックスイミング競技の演技がどのような基準で評価され、採点されているかをお伝えさせていただきました。
次回記事では、実際に点数を決定する際の基準と点数の計算方法についてお伝えしていきたいと思います。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
次回の記事も楽しみにしていただけると幸いです。
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