外反母趾は成人の約30%にみられるといわれています。
外反母趾は、母趾(足の親指)がさまざまな原因で変形し、つけ根が外側に突き出て、母趾の先が小指側に曲がってしまった状態になります。
外反母趾とは?
外反母趾は成人の約30%にみられるといわれています。
外反母趾は、母趾(足の親指)がさまざまな原因で変形し、つけ根が外側に突き出て、母趾の先が小指側に曲がってしまった状態になります。
我々人間が、靴を履くようになってから現れるようになった足の代表的な疾患であり、痛みとして症状を有する人と、そうでない人に分かれます。
変形の程度と痛みは比例しないということです。
もちろん変形の程度や症状の出方により、医学的分類があり、それぞれの病気によって治療方法の選択が異なることも事実です。
しかしながら、変形があっても症状がなければ、その状態を維持することは運動によって可能であることが多いのです。運動により変形を取り除くということは困難ですが、症状を引き起こさない、あるいは悪化させないように対処することは可能であることが多いです。
外反母趾の原因
外反母趾の原因:足の指の形の特徴について
人間の足の指の形(配列)には、大きく分けて3パターンあるとご存じですか?
- 母趾(親指)より示趾(人差し指)の方が長いギリシア型
- 母趾の方が長いエジプト型
- 全部の指の長さが同じ長さのスクエア型
日本における足型のパターンは、ギリシア型が25%、エジプト型が70%、スクエア型は5%と言われており、外反母趾は、母趾が一番長いエジプト型に発生頻度が高いとされています。
すなわち、日本人は外反母趾になりやすいということが言えます。
では、なぜエジプト型に外反母趾が多く発生するかという話ですが、それは、靴の中で母趾が靴の先端にあたることで圧迫を受けやすいからです。また、立っている時や、歩いている時など、脚に体重がかかった際には通常、体重をまんべんなく分散しようという作用が働きますが、その時に母趾の付け根に捻じれ応力が働きやすく、この力が加わることで、母趾が内側に変形するとされています。
ギリシア型、スクエア型でも圧迫を受けやすいような靴を履くことで、外反母趾になるというリスクはあるので注意は必要です。
外反母趾の原因:足底アーチとの関係について
我々の足には足底アーチという機能があります。
足底アーチには内側縦アーチと外側縦アーチ、横アーチと呼ばれる3種類があります。
足底アーチの働きは、
- 衝撃吸収(クッション作用)
- 足部の保護(安定作用)
- 放熱
- 歩行効率の向上(バネ作用)です。
このアーチ構造は足の裏にある足底筋膜という強靭な筋線維束によって作られ、下腿部の筋肉(特に後脛骨筋、腓骨筋)の助けを借りて機能を維持しています。
縦アーチの機能不全が生じると偏平足が起こりやすく、横アーチが機能不全になると開張足を引き起こしやすくなります。偏平足や開張足でも母趾の付け根に捻じれ応力がかかりやすく、外反母趾のリスクが上がると言われています。
外反母趾の原因:年齢別(年代別)での発生機序について
年代別で外反母趾の発生機序を分けてみると、
10歳代で起こる若年性外反母趾では、足の指の形状で母趾が長いエジプト型であったり、縦アーチの機能不全に起因する偏平足といった内的要因(生まれつきの形状や、機能低下によるもの)が主たる原因になることが多いです。
一方、最も外反母趾症状を自覚しやすい中高年では、履物の要因(若いころに比べて履物の種類が変化することが多い)や肥満(若いころからの食生活や運動習慣に起因する)や筋力低下といった外的要因と内的要因が混在して発生することが多いと言われています。
中高年以降に発生する外反母趾は日ごろのメンテナンスと自身の足の指の形状にあった履物をうまく選択することが重要になってきます。
外反母趾の重症度分類
母趾がMP関節(中足骨と趾骨の間の関節)で小趾(小指)側に曲がり、HV角が20度以上になると外反母趾であると診断されます。
外反母趾は段階別に区分けされており、
- 20~30度のものは軽度外反母趾
- 30~40度で中等度外反母趾
- 40度以上で重度外反母趾と分類されています。
痛みなどの症状は角度による重症度分類に比例しないことも多々あります。
また、一般的にハイヒールやパンプスなど先が細くとがった履物を履く習慣の多い女性に多いとイメージされがちですが、そういったものを履く習慣のない男性にも外反母趾は発生することがあります。
その原因には、肥満や筋力低下に加え、歩行時にうまく荷重をかけられないなど日ごろの生活習慣が影響すると言われています。
治療方法は一般的に2種類で、保存療法と外科的治療です。保存療法には履物指導と運動指導(装具療法と薬物療法)を併用するもので、外科的治療とは手術のことです。外反母趾は、放置しておいて進行が止まることはありません。しかし、初期段階の場合保存療法(履物指導と運動)で進行を止める。あるいは緩やかにする、痛みを極力出さないようにすることが可能であると言われています。
外反母趾の改善法
外反母趾の改善法:履物について
先が細い靴とかかとが高い靴は外反母趾を誘発しやすくなります。
先が細い靴は母趾を内側に圧迫しやすく、踵が高い靴は前方重心になりやすく指先に過度な荷重がかかり続けることになります。
母趾の付け根には靭帯があり、靭帯の役割は指が内側や外側に引っ張られないように制動するという働きがあります。履物の種類により、この靭帯が正常に機能しなくなり、緩み状態になってしまうと、外反母趾を発生させるということです。
市販のもので履物を正しく選択するときに重要なことは、母趾のつけ根が靴の内側にあたり圧迫が加わらないこと、指先はゆったりとしていること、ヒールが低いこと、ある程度素材が柔らかいことが重要と言われています。
また、インソール(中敷き)も有効とされており、足底アーチ機能を補ってくれるものを選択すると良いとされています。新しい履物(靴・スニーカー)を選ぶ際には、足の指が靴の中で動かせるように、つま先には1~1.5センチほど余裕があると良いとされています。靴の中で足が滑って前にずれないように、かかと部分の縫製や形状がきっちりしたものを選択し、甲や土踏まずの部分を紐やマジックテープなどでしっかりと固定される靴を選択しましょう。
どうしてもハイヒールを履く必要がある場合などは、荷物が増えるという欠点はありますが、移動の間は別の靴を履くなどして、ハイヒールを履いている時間を極力短くすることで負担を軽減することができます。また、甲に太いストラップがついたハイヒールを選択したり、滑り止め機能の付いた中敷き(インソール)を活用することで、甲が固定されて、足が前にずれてしまうのを防ぐことができます。
市販の履物やインソールが合わない場合は、簡易に足の形を測定してくれて具体的にアドバイスしてくれるシューズショップもあるので参考にしてみてはいかがでしょうか。
外反母趾の改善法:自宅で簡単にできる運動について
自宅で簡単にできる運動方法をお伝えします。
一般的なものの中で最も簡単に、わかりやすい運動は、足の指を使って「グー・チョキ・パー」と動かして足部の運動を行う方法です。
開きにくかったり、動かしにくかったりする場合は、まずは足の指の可動域を作りこむ必要があります。足の指の可動域を作るには、足の指を1本ずつ手でつかみ、曲げたり伸ばしたり、軽く捻じったり、指と指の間を開くように動かしたりと、ご自身の状態に合わせながらゆっくりと、じっくりと確実に可動域を作ることが重要です。
もう一つ、運動方法をご紹介すると、有名な体操の一つに「Hohmann(ホーマン)体操」というものがあります。輪ゴムや、ヘアゴム、100円均一やスポーツ用品ショップに売っているトレーニング用のゴムバンドなどをご用意していただき、両足の母趾に引っかけて、両足の踵を合わせたま、両足のつま先を開き、これを5秒から10秒間ほどキープします。いずれも、軽度から中等度の外反母趾に対して効果を発揮しやすいと言われています。すぐに効果が表れるものでは決してないので根気よく継続することが最も重要です。
外反母趾の原因と改善法、対策!靴選びについてのまとめ
今回は、成人の約30%にみられる外反母趾について原因とその対策をお伝えさせていただきました。外反母趾は年代によって発生の原因が異なることや、履物や生活習慣、筋力低下などの要因によって引き起ることがお分かりいただけたと思います。
本編でもお伝えしましたが、軽度から中等度の外反母趾は運動による効果(症状の進行を食い止めたり、疼痛の緩和)が得られやすいです。
変形の程度と痛みの発生(強弱)は比例しないということもご理解いただけたと思います。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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