前回投稿に引き続き、腰椎椎間板ヘルニアについて情報をお伝えさせていただきます。
今回は前回の内容よりもう少し具体的な対処法などについて綴っていきます。
お時間がある方は最後まで読んでいただけますと幸いです。
腰椎椎間板ヘルニアの治療について
椎間板ヘルニアの治療は、大きく分けて2つあります。
- 観血的療法(外科的治療:手術)
- 保存療法
の2つです。
腰椎椎間板ヘルニアに対する保存療法①
保存療法には、運動療法(ストレッチやトレーニング)、投薬治療や注射、コルセットなどの装具療法、整体、マッサージなどがあります。
保存療法に関してはヘルニアによる神経の圧迫を直接取り除くわけではないので、どちらかと言えば痛みなどの症状に対する対処療法と言われてしまうこともあります。
しかし、飛び出した髄核は自然に吸収され、椎間板も修復されるとされています。
その期間の間に、再発防止のための動作の獲得や、姿勢の修正、弱くなった筋力や足りない可動域を補うなど対策を行うことで、早期改善に関与すると言われています。
また、椎間板ヘルニアによって引き起こされた炎症由来の腰痛に関しても、周辺組織を適切にトリートメントすることで、症状緩和を図ることが可能です。
安静時痛を有する症状で動けない場合や麻痺など重度のヘルニア、膀胱直腸障害を有するヘルニアである場合、レッドフラッグに引っかかる腰痛を除き、まずは保存療法を選択するのが一般的に推奨されています。
腰椎椎間板ヘルニアに対する保存療法②
椎間板ヘルニアのおよそ80~85%は保存療法にて自然に症状緩和を図ることが可能とされています。
ブロック注射、薬物療法、装具療法、運動療法などに代表される保存療法ですが、それぞれ目的が異なります。
ブロック注射
注射治療は痛みを感じる信号をブロックして、痛みを抑えることが主目的です。神経根にブロック注射を行い、神経由来の疼痛に対して処置することもあれば、硬膜外に注射をして周囲組織由来の疼痛に処置することもあります。
投薬(薬物療法)
薬物療法は、消炎鎮痛剤にて炎症を抑えたり、ビタミンなどで神経の働きを良くすることで症状を緩和することが主目的です。
年齢や症状の強さなどによって薬の種類が検討され、処方されることになります。
装具療法
装具療法はその名の通り、コルセットなどを利用して脊柱の動きを制限することによって負担を軽減することを主目的にしています。
運動療法
運動療法ではトレーニングやストレッチを用いて筋力をつけたり症状の緩和や動作指導や姿勢指導などを組み合わせて再発予防などの効果を得ることを主目的にしています。
状態に応じてそれぞれを組み合わせて治療していきます。どういうことかというと、例えば、ブロック注射などで動けないほどの腰痛を緩和させている間に、運動をしたりするということです。
腰椎椎間板ヘルニアに安静は有効か?
安静は治療に含まれません。
また、安静による症状緩和効果はほとんどないと言えます。百害あって一利なしです。
安静という言葉の望ましい言葉の解釈は、痛みの程度に応じて活動を加減することが望ましいということです。
椎間板ヘルニアが発生した脊椎部に負担がかからない生活に留意し、症状が緩和してきたらなるべく早期に通常の生活に戻ることがよい結果につながります。
椎間板ヘルニアによる症状で痛みの急性期には、痛みを早期に取り除くあるいは軽減することを目的に、ブロック注射、鎮痛剤の内服、坐剤の併用が効果的です。痛みを薬にてコントロールし、運動療法にて動作指導、姿勢指導をストレッチやトレーニングに合わせて行うことで早期に通常生活に戻ることにつながると私は考えています。
腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛
代表的な症状の一つに坐骨神経痛と言われる脚の痛みや痺れがあります。
これはヘルニアが突出している部位によって症状が出現する部位が異なるため下半身のどこに症状が出現するかわかりません。(神経根・脊髄神経が圧迫を受ける神経高位に症状が由来するためです)
その他には、感覚が鈍くなったり(感覚鈍麻:皮膚などを触れたときにぼやーっとした感じや、時にはチリチリ感じたりする方もいらっしゃいます)、膝や足に力が入らなくなってしまったり(筋力低下)や重度の場合では一時的に運動麻痺と言われる症状が出現することもあります。
膀胱直腸障害と言って尿や便が出にくくなったり、逆に頻尿や失禁がみられることもあります。
一般的に運動麻痺が改善されない場合や膀胱直腸障害を有している場合には神経組織が壊死して後遺障害を残しやすいことなどから、手術の適応となる場合が多いです。
痛みに関しては、腰部だけに痛みを感じる場合もありますが、腰からおしりにかけて広範囲であったり、大腿部、下腿から足にまで痛みを感じることもあり、さまざまです。
また、咳やくしゃみをすると激痛がはしることが多いです。
教科書では「魔女の一撃」 と表現されていることもあり、朝起床後、洗面台の前で顔を洗ったり、歯磨きで口をゆすごうとしたときなど、前かがみの姿勢で瞬間的に咳やクシャミなどを催したときに、腹圧が急激に上昇し、椎間板ヘルニアを発症するということも少なくありません。
腰椎椎間板ヘルニアの予防
椎間板ヘルニアを予防するためには、長時間の中腰での作業やその繰り返し、急に重たい物を持ちあげることや長時間にわたり重たいものを持ち続けるなど、腰に負担がかかる事を避けることやそれに対する事前準備(そうならないように環境を整えたり、身体を強化しておく)が重要です。
仕事などの都合でどうしても避けられない場合やそういった状況に日ごろから携わらず得ない環境にある場合にはあらかじめコルセットなどで保護してあげることも効果的です。
また、コルセットなど外的要因で負担を減らすだけではなく、そういった負担に耐え得る身体を作る事も重要です。
例えば、ストレッチなどにより関節や筋肉の柔軟性を上げたり、トレーニングにより筋肉を鍛えたりすることがそれにあたります。
椎間板ヘルニアを運動で治す!②のまとめ
椎間板ヘルニアを運動で治す!②では、腰椎椎間板ヘルニアに対する保存療法に関することを中心に情報をお伝えしてまいりました。
症状が出てからの対処ももちろん重要ですが、それよりも先に、症状を起こさないための準備が最も重要です。
すなわち、ご自身の身体のクセを知り、使い方を工夫する。日ごろから適切なメンテナンスを行い、疲労や身体各所のコリを溜めないようにするなど、ボディーケアが重要であるということです。
月に1回のメンテナンスをLEAP Physio Lab.で受けてみませんか?もちろん、お悩み・症状をすべてを解決できるわけではないと思っていますが、必ずお力になれると思います。
今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。
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