前回の記事では、腰部脊柱管狭窄症の代表的な症状についてを中心に情報をお伝えしてきました。
今回の記事では、腰椎を支持・安定するために必要な体幹の筋肉にフォーカスをあてて綴っていこうと思います。
また、その筋肉を鍛えることで腰部脊柱管狭窄症に対してどのような影響が得られるのか?生活上の注意点やちょっとした工夫などについてもご紹介していきたいと思います。
お時間があるときに最後までお読みいただけると幸いです。
間欠性跛行の症状と似た症状
足腰の痛みや痺れ、間欠跛行など、脊柱管狭窄症と似たような症状が起こる病気があります。
①椎間板ヘルニア:脊柱の椎骨と椎骨の間でクッションの役割を果たしている「椎間板」が、加齢や構造的脆弱などによって変性や断裂が起こり中にある髄核が飛び出て神経を圧迫する病気で、それにより腰やおしり、脚に痛みやしびれなどの症状、感覚障害、運動麻痺(筋力低下)、膀胱直腸障害が起こります。
②末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症など):主に下肢の動脈が細くなったり、細くなった部位で詰まったりして血流状態が悪くなる病気です。下肢の血流状態が悪くなるために、痛みや痺れなどの症状が起こり、間欠跛行などの症状もみられることがあります。重症化すると細胞が壊死してしまい、脚を切断しなければならなくなることもあるため、早期発見・治療が重要とされています。
③糖尿病性神経障害:糖尿病の三大合併症のひとつです。神経が障害されることで足のしびれや痛みなどの症状がみられることがあります。
下肢痛、下肢症状、歩行時痛と言っても原因はたくさんありますので、原因を明確にしてそれぞれきちんと対処していくことが重要になります。
腰部脊柱管狭窄症と体幹筋
体幹の筋肉について少し話をしていきます。
体幹筋には、アウターマッスル(いわゆるボコボコした腹筋)とインナーマッスル(コアマッスル)と言われるような、体幹深部にある背骨や体幹の軸を支え・安定させる機能をつかさどる筋肉があります。
このインナーマッスルの中でも、腹部の最深部にある腹横筋は腹部前方の腹筋膜、腰部後方の腰背筋膜と連結し、腹腔をとりまく輪としての構造を形成しています。
この輪状構造を介して腹横筋の収縮は輪を縮め腹腔内圧を上昇させることで腰椎の支持性・安定性を高めています。(この腹腔内圧を上昇させるには、腹横筋のほかに、内腹斜筋、外腹斜筋、骨盤底筋群と後に紹介する多裂筋の働きが重要であるとされています。)
そして、腰椎横突起から骨盤に位置していて、腰椎椎間をそれぞれまたぐように位置してついているとされる多裂筋を同時に収縮させることによって各腰椎椎間の支持性にも寄与します。
イメージとしては腰痛の時に腰に巻くコルセットやサポーターのようなイメージで、この腹横筋や多裂筋が筋膜構造を介して体幹深部で天然の(自前の)コルセットやサポーターのような役割をしているということです。
腰部脊柱管狭窄症に対する運動
腰部抗重力支持機構(体幹インナーマッスルのことで、主には腹横筋や多裂筋のこととここではイメージしています)を強化するエクササイズをすることで、脊柱管の圧迫を引き起こす過度な腰椎前弯を軽減し、脊柱管を拡大することで脊柱管に加わる圧を減圧することが可能であると言われています。
保存療法(運動療法)の中で脊柱管を拡大させるという根本的治療の効果を得られると考えられる唯一の手段であるともいわれています。
この輪状構造(腹横筋と多裂筋の筋膜を介してのコルセット機能)の働きを促進するエクササイズは腰椎抗重力支持性を高めると共に腰椎前弯を減らすことにより腰椎脊柱管を拡大することを目的に運動指導することが比較的多くなっています。
その他、ストレッチやマッサージなどによる関節可動域拡大や、日ごろの使い方のクセや不良姿勢によって凝り固まった筋肉や関節の歪みを調整するなど全身各所のバランスを整えることも必要です。
それに加えて、日常生活の中での工夫できることと言えば、歩いて移動する生活パターンを変更して自転車を利用する、杖などを使っていて短距離しか連続移動できない場合は、歩行補助具を杖からシルバーカーなどに変更し、前かがみになって歩く、などの日常生活の見直しも有効です。
腰部脊柱管狭窄症を運動で治す!②のまとめ
腰部脊柱管狭窄症を運動で治す!②では、主に体幹筋による脊柱(腰椎の)支持性・安定性を高めるための重要性についてお伝えをしてまいりました。
腹腔内圧をコントロールして、腰椎を安定化させるためのエクササイズはたくさんのバリエーションがあり、初心者から熟練者まで、段階に合わせて実践していくことが重要です。
また、インナーマッスルと言われるだけあって、身体の深部(奥に)ある筋肉ですので、その力の入り方などをイメージして感じ取ることが成功のカギになります。
インナーマッスルの収縮を正しく感じ取ることは容易ではないため、継続が重要です。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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