国民病!!「腰痛」アップデートver.①

腰痛

はじめに

腰痛診療ガイドラインは、日本整形外科学会・日本腰痛学会監修のもと初版が2012年に発表されました。この情報をもとに、ブログで情報を発信したり、今まで様々な講演や、クライアントさまに対する施術や指導を実践してきました。

改訂第2版が「腰痛診療ガイドライン2019」として発表されて、少し時期が経っていますが、この情報をもとに少しずつではありますが新たにブログを更新していきたいと思います。クライアントさまへの施術や指導の方法は改訂第2版が発表された時からバージョンアップして最新の情報と正しい知見をベースに対応させていただいておりますので、ご安心くださいませ。

腰痛を有する患者は非常に多いとされています。定期的に行われている厚生労働省の国民生活基礎調査によると、有訴者率・受診率ともに腰痛は例年上位を占めているとされています。日本以外の欧米などの諸外国でも腰痛は医療施設受診をもたらす最も多い症状のひとつであると報告されています。腰痛とは、あくまで「症状」を表す名称であり、「疾患名(病名)」ではないということが前提として認識をしてほしいと思います。この点に関しては、初版から変更点はないという認識で大丈夫です。

腰痛の定義について

①疼痛の部位からの定義

「体幹後面に存在し、第 12 肋骨と殿溝下端の間の症状を指します。その症状は、少なくとも1日以上継続する痛みで、片側または両側の下肢に放散する痛みを伴う場合や、伴わないこともある」

とされています。また、いわゆる殿部痛は神経根由来のものが含まれる可能性もあるため注意が必要な場合もあります。

腰痛には根性(神経根由来)または馬尾性(馬尾神経由来)の下肢症状(痛みやしびれ)や関連痛(主原因部位と異なる部位の痛み)と呼ばれる下肢痛を伴う場合があります。

腰痛に対する施術や指導を行うときには、痛みの部位に十分注意しておく必要があるということです。初版から考えは大きく変わらないという認識で良いと私自身は整理しております。

②発症からの有症期間による定義

「発症からの期間別に①急性腰痛、②亜急性腰痛、③慢性腰痛とそれぞれ定義されます。」

急性腰痛は発症から4週間未満のものとし、慢性腰痛を3ヵ月以上継続する腰痛としています。

亜急性腰痛の定義には一致した見解はないとされていますが、急性腰痛と慢性腰痛の間に存在する腰痛を亜急性腰痛と呼び、発症から4週間以上、3ヵ月未満の腰痛がそれに該当するとされています。

③腰痛を引き起こす原因別による定義

「脊椎由来、神経由来、内臓由来、血管由来、心因性、その他」に分類されます。

このなかで特に注意して対応しないといけないのが、

  1. 悪性腫瘍(原発性、転移性脊椎・脊髄腫瘍など)
  2. 感染(化膿性椎間板炎・脊椎炎、脊椎カリエスなど)
  3. 骨折(椎体骨折など)
  4. 重篤な神経症状を伴う腰椎疾患(下肢麻痺、膀胱直腸障害などを伴う腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症)
  5. 内臓・血管系疾患(解離性大動脈瘤や泌尿器系結石)
  6. 婦人科系疾患

が挙げられます。これらの原因による腰痛に関しては、適切な診療科にコンサルトを行い、症状に合った適切な治療が必要であるということです。

今までのブログなどではレッドフラッグと記載していた部分になります。当院で対応できる腰痛ではないため、これらの症状のものは専門医の診察へ誘導することが私の役目になります。

次に、重篤ではないながらも下肢の神経症状(軽度の麻痺や下肢痛・しびれ, 間欠跛行)を伴う腰椎疾患の鑑別も同様に確実に行わなければならないとされています。今までのブログではイエローフラッグと記載していた部分で、原因の特定や治療(投薬、関節内注射、時には手術など)と当院でできる手技療法を用いた施術や運動指導ならびに生活指導をうまくミックスして対処していかないといけないものがここに当てはまります。

そして最後に、グリーンフラッグの部分で、当院での手技療法を用いた施術であったり、運動指導や生活指導で解決へ導くことができるタイプの症状です。原因が椎間板性、椎間関節性、筋・筋膜性、神経根性、靱帯性腰痛などと分類・特定される腰痛です。その多くは、加齢による退行性変化が誘因となることが多いです。まずは、炎症症状を緩和し、その症状を引き起こす原因となる生活上のクセを見つけ、姿勢や筋肉などのアンバランスを調整して、適切な運動指導や生活指導で再発の予防を行っていくことがセオリーかと思います。

腰痛の定義を上記にまとめて記載しましたが、改訂第2版で大きく変わったという点はなく、研究が進んだことによってより詳細に報告されている内容が増えたということになろうかと思います。

国民病!!「腰痛」アップデートver.①についてのまとめ

国民病!!「腰痛」アップデートver.1では、腰痛の定義および原因別分類についてまとめてご紹介いたしました。あくまで、専門的な内容になるかと思いますので、このブログをお読みいただいている多くの方には難しい内容になるかもしれません。

ここで、知っておいていただきたいことは、一口に腰痛と言っても原因はさまざまあるということです。その中には、内臓や血管性などのものもあり、時には命に係わる症状であることもあるということです。

しかし、多くは運動器と呼ばれる骨関節・筋肉・靭帯などの問題、使い方・動かし方の問題で症状を発生させるものです。こういった原因による症状に関しては、私の方で適切な対処・再発予防のための手立てをサポートすることが可能です。

人生、一度は経験する腰痛。そのまま放っておくのではなく、まずはご相談くださいませ。

今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。

次回は、腰痛の病態・自然経過について情報を更新したいと考えています。次回の記事も楽しみにしていてください。

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